チーズ

【チーズ作り】凝乳酵素レンネットとは何か?

悩む人

レンネットってどんなものなんだろう?

こんな疑問にお答えします。

レンネットとは、現在生産されている多くのチーズに使われている「凝乳酵素(ぎょうにゅうこうそ)」で、子牛の胃から抽出したものや、微生物を利用して生産されたものなど、いくつかの種類があります。

けいすけ

「丹波チーズ工房」6年目の私がお伝えします。先祖が発見したレンネットのおかげで、何千種類もの多種多様なチーズ文化が発展してきました。

チーズにおける凝乳とは

チーズとは、牛乳中のたんぱく質(カゼイン)をくっつけて、ホエーという液体を取り除いたものです。

このたんぱく質の固まった状態を凝乳といい、方法は3つあります。

①乳酸菌や酸による凝固・・・・クリームチーズ、フロマージュブラン、カッテージチーズ

②レンネットによる凝固・・・・ゴーダ、カマンベール、ブルーチーズ、パルミジャーノ、モッツァレラ

③熱による凝固・・・・リコッタ、マスカルポーネ

けいすけ

ゴーダチーズなどにも乳酸菌を使っていますが、「凝乳の仕組み」そのものはレンネット凝固なのです。
①のチーズは酸味の強いチーズばかりですよね。つまりゴーダとは「凝乳の仕組み」が違うのです。

大部分のチーズは②のレンネット凝固によりチーズを作っていますので、なんとなく「ほとんどはレンネットなんだな~」と感じていただければ(笑)

レンネットで凝乳する仕組み

レンネット凝固の仕組みは一言でいうと疎水性相互作用です。

上の写真のように「水をはじく」性質を利用しています。

分かりやすいように、自作の図解で説明してみます↓

牛乳中には、たんぱく質のカゼインが水の中をフワフワ~と浮いているのですが、そこにレンネットの主成分酵素「キモシン」が働くと、カゼインを水嫌い(疎水性)に変えてしまうのです。
水が嫌いになったカゼイン達が居場所を求めて牛乳の中で固まり始め、液体(ホエー)を取り除くと、最終的にチーズになるのです。

けいすけ

キモシンはタンパク質分解酵素(プロテアーゼ)のひとつで、カゼインの一部分を切る作用があります。
またの名をレンニンといい、レンネットの語源になっているようです。

レンネットは4種類

カーフレンネット

カーフレンネットとは、牛などの動物から取り出したレンネットで、50年前までは、ほぼすべてのレンネットがこれでした。現在は全世界のチーズ生産量の15%以下まで減り、希少な方法になりつつあります。

牛などの反芻動物には4つの胃があり、中でも第4胃には母親のミルクを消化するための酵素がたくさんあります。この酵素こそがキモシンなのです。

牧草などを食べ始めると、ミルクを消化する必要性が減り、キモシン量も減ってしまうので、生後2~3ヶ月の子牛を屠殺してレンネットを取り出します。

けいすけ

最近は動物愛護の観点からカーフレンネットは敬遠される向きもありますが、当工房では伝統的製法であるカーフレンネットを使っています。
ヨーロッパでも、伝統的製法を守る工房さんでは利用しているようです。

カーフレンネットにはキモシン88~94%、ペプシン6~12%が含まれています。このプロテアーゼの一種であるペプシンが含まれていることで、特に長期熟成チーズの複雑で魅力的な美味しさが作られていると私は考えています。

微生物レンネット

ケカビ - Wikipedia
https://images.app.goo.gl/zfcYnxF7gAETnrQT8より

1960年代、レンネット原料の子牛が不足したことから、代替物として利用されるようになったケカビ(Mucor miehei)から抽出するレンネット。キモシンとよく似たアスパラギン酸プロテアーゼを産生します。

タンク内で大量生産が可能なため安価ですが、たんぱく質分解活性が強く、カーフレンネットより苦みが出やすいのが欠点です。
現在は全世界のチーズ生産量の25%くらいに利用されています。

発酵生産キモシン

DNAのイラスト

子牛の第4胃で生産分泌されるキモシンの遺伝子を、微生物(大腸菌・酵母・カビ)に組み込んで、酵素を作ります。以前は、遺伝子組み換えレンネットとも呼ばれていました。

キモシン100%のため、チーズの品質改良や収量増加が期待できます。
現在全世界のチーズ生産量の60%という圧倒的シェアを誇っています。

植物性レンネット

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イチジクのフィシン、パパイヤのパパイン、パイナップルのブロメリンなどのたんぱく質分解酵素には、凝乳作用もあります。

ヒンズー教などの宗教上の理由で牛由来のキモシンを使えないインドなどでは、古くから研究が行われています。一般的に風味は淡白で、強い苦みが出てしまいます。

チーズ文化を発展させたレンネット

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かつてのチーズは乳酸発酵で作られていました。
レンネットで作るようになってからは、酸味も少なく、保存中に成分が変化して「熟成」という現象が起きるようになり、その結果、現在に至るまで多くの種類の複雑な味わいのあるチーズが作られるようになりました。

レンネットを発見した人はすごいですよね。

けいすけ

冷蔵庫もなかった時代に、「何としても家族を飢え死にさせまい」と知恵を絞って牛乳の保存を考え抜いた結果が、現在の私たちの豊かな食文化につながっていると考えると、とても面白いなーと感じます。

まとめ

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レンネットはタンパク質分解酵素で、チーズ製造になくてはならない大切なものです。
100Lのミルクに20mlほどしか入れないのですが、30分ほどでミルクが豆腐のように固まってしまうのですから、とっても不思議な感じもします。

考えてみれば、子牛も胃の中で母乳を酵素で固めて、チーズを作っているようなものなんですよね、面白いですよね。

レンネットについて、少しでも理解が深まったなら幸いです。

何か質問がありましたら、お問い合わせフォームより気軽に質問いただけると嬉しいです。一緒に日本の酪農文化・ナチュラルチーズ文化を盛り上げていきましょう!

以上です。